Chromebook で最新版の QGIS を使う
Chromebook の Linux 開発環境には QGIS をインストールして使うことができます。
2022 年 2 月現在、デフォルトでは Debian GNU/Linux 11 bullseye が動作し、標準パッケージから QGIS をインストールすると 3.10.14 が入ります。 QGIS の最新版は 3.22.3、LTR 版でも 3.16.16 なので、標準パッケージから入るバージョンはだいぶ古いという印象です。
新しい QGIS は便利な機能が増えているので、特に理由がないのであれば新しいものが使いたいところです。 Chromebook で QGIS の最新版を使う方法はいくつか考えられますが、この記事では Debian bullseye に QGIS 3.22 をインストールする方法を説明します。 おそらくこの方法がもっとも手軽でしょう。
新しい QGIS をインストールする
この方法は QGIS 公式のパッケージ リポジトリを追加してインストールします。 基本的なやり方は公式の説明(QGISのインストーラー - Linux)どおりです。
# すでにインストールされているパッケージを新しくしておきます。 $ sudo apt update && sudo apt upgrade -y # パッケージ リポジトリを追加するためのツールをインストールします。 $ sudo apt install -y gnupg software-properties-common # パッケージ リポジトリの公開鍵をインポートします。 $ wget -qO - https://qgis.org/downloads/qgis-2021.gpg.key | \ sudo gpg --no-default-keyring \ --keyring gnupg-ring:/etc/apt/trusted.gpg.d/qgis-archive.gpg \ --import # 公開鍵をすべてのユーザが読み取れるようにしておきます。 $ sudo chmod a+r /etc/apt/trusted.gpg.d/qgis-archive.gpg # QGIS のパッケージリポジトリを追加します。 $ sudo add-apt-repository "deb https://qgis.org/debian $(lsb_release -c -s) main" # 代わりに LTR 版をインストールするときは次のようにしてください。 # $ sudo add-apt-repository "deb https://qgis.org/debian-ltr $(lsb_release -c -s) main" # QGIS をインストールします。 $ sudo apt update && sudo apt install -y qgis qgis-plugin-grass
より新しい QGIS がリリースされた場合には sudo apt update && sudo apt upgrade
とすることで新しいものに更新されていきます。
表示を日本語に切り替える
Linux 開発環境のデフォルトの状態では、英語環境(LANG=en_US.UTF-8
)になっています。
日本語にしたい場合は、システムのデフォルトを日本語にしてしまうのがよいでしょう。
# 日本語の設定を追加し、有効にします。 $ sudo sed -i -E 's/# (ja_JP.UTF-8)/\1/' /etc/locale.gen && \ sudo dpkg-reconfigure --frontend noninteractive locales # システムのデフォルトを日本語に切り替えます。 $ sudo update-locale LANG=ja_JP.UTF-8
このあと Linux 開発環境を再起動すれば日本語になっているはずです。 日本語入力の設定が必要な場合は、別途設定してください。
データは外部ストレージに置くのがお勧め
Chromebook は内蔵ストレージが小さいものが多いので、サイズの大きな地理情報ファイルを内蔵ストレージに置くとすぐにいっぱいになってしまいます。 そんな場合は外部ストレージを利用するのがお勧めです。 私は 256GB の USB ストレージを接続し、そこに地理情報関連のファイルを置いています。
USB ストレージを接続するとファイルアプリに現れます。これを右クリックすると「Linux と共有」というメニューが表示されます。
許可すると、Linux からは「/mnt/chromeos/removable/ストレージ名
」として見えるようになるので、ここにデータを置くようにします。
まとめ
Linux に慣れていればセットアップは難しくないと思います。パッケージで管理されるので、最新版への更新が簡単というのもよいところです。
ただし、Chromebook は非力なものも多いので、複雑な用途でなければ地理院地図などのクラウドサービスを活用する方が便利かもしれません。QGIS はとても高度な処理ができるので、使いこなせたら面白いですね。
執筆時環境
- ASUS Chromebox 4, Chrome OS 98.0.4758.107 (stable)